3年前に入った学資保険、正直あまり調べずに決めてしまって。最近、他社のほうが返戻率が高いと知って「乗り換えたほうがいいのかな」と気になっています。でも解約すると損するとも聞くし……どっちが得なのか分からなくて。
その悩みはとても多いです。結論から言うと、学資保険の乗り換えは「得なケース」と「明らかに損なケース」がはっきり分かれます。今日は解約控除・元本割れの仕組みから、見直しを検討していいタイミング、3社の比較まで順番に整理しましょう。
学資保険の「乗り換え」とは何か
学資保険には、自動車保険の「等級引き継ぎ」のような正式な乗り換え制度はありません。学資保険を「乗り換える」というのは、今の契約を解約して解約返戻金を受け取り、その分を新しい保険会社の契約に入り直すことを指します。つまり実態は「解約」と「新規加入」の2つの手続きです。
そうなんですね。てっきり保険会社同士で手続きしてくれるものかと思っていました。
いいえ、そこがこの話の一番大事なポイントです。「解約」を挟む以上、今の契約でこれまで積み立ててきた分の扱いがどうなるかを先に理解しておく必要があります。
途中解約すると何が起きる?元本割れと解約控除の仕組み
学資保険を含む貯蓄性の保険は、契約から数年〜十数年かけて「払込保険料の総額に対する受取額の割合(返戻率)」が少しずつ上がっていく設計になっています。加入初期に解約すると、この設計上の理由で解約返戻金が払込済み保険料の総額を下回るのが一般的です。これがいわゆる「元本割れ」です。
- 解約控除:保険会社が契約時にかかった諸経費(募集にかかる費用など)を、解約時に解約返戻金から差し引く仕組みです。この控除は契約から年数が浅いほど大きく、一定期間を過ぎると縮小・消滅する設計が一般的です。
- 元本割れ:解約返戻金が払込保険料の総額を下回った状態です。加入から数年以内の解約では、払込んだ額の7〜9割程度しか戻らないケースも珍しくありません。
- 戻り方は商品ごとに違う:解約控除の有無や割合、元本割れが解消される時期(損益分岐点)は保険会社・商品によって異なります。乗り換えを検討する際は、まず今の契約の「解約返戻金額」を保険会社に問い合わせて確認することが出発点になります。
うちは加入して3年なので、もし今解約したら元本割れしている可能性が高いということですね……。
可能性は十分あります。ただし正確な金額は契約書類か保険会社への問い合わせでしか分かりません。まず「今解約したらいくら戻るか」を確認してから、次のステップに進むのが安全です。想像だけで判断しないでください。
乗り換えで返戻率は本当に上がるのか——年齢という壁
学資保険の返戻率は、子どもの加入年齢が低いほど高くなる傾向があります。つまり、3年前に0歳で加入した契約と、今3歳になってから新しい会社に入り直す契約とでは、後者のほうが返戻率で不利になりやすいということです。
「今の契約の返戻率が低いから、他社に乗り換えれば必ず得をする」とは限りません。乗り換えで比較すべきなのは次の2つです。
- 今の契約をこのまま続けた場合に、満期までに見込める最終的な受取額
- 今解約して戻ってくる解約返戻金 + その金額を元手に新しい契約に入り直した場合の、満期までの受取額
解約時の元本割れ分と、新規加入による加入年齢の不利(返戻率の低下)が重なると、乗り換えたほうが最終的な受取総額が下がってしまうケースが少なくありません。この2つを具体的な数字で見積もらずに「返戻率の数字が高いから」という理由だけで乗り換えを決めるのは避けたほうがよい判断です。
ソニー生命・フコク生命・かんぽ生命 返戻率の目安比較
乗り換え先として比較検討されることが多い3社の一般的な目安です。返戻率は加入年齢・払込期間・払込方法・受取回数によって変わるため、下表はあくまで「水準の目安」として見てください。実際の数字は各社の公式サイトのシミュレーションで必ず確認してください(※2026年7月時点の公式サイト情報をもとに作成)。
| 項目 | ソニー生命 学資保険 |
フコク生命 みらいのつばさ |
かんぽ生命 はじめのかんぽ |
|---|---|---|---|
| 返戻率の目安(条件により変動) | おおむね115〜127%程度 | おおむね113〜131%程度 | おおむね100〜105%程度 |
| 子どもの加入年齢上限 | 出生前加入可〜13歳程度まで | 0〜7歳程度まで | 0〜12歳程度まで(コースにより異なる) |
| 相談方法 | 担当者との個別相談(対面・オンライン) | 代理店・窓口での相談 | 全国の郵便局窓口 |
| 医療保障特約 | なし(貯蓄特化型) | 追加可能 | 追加可能 |
| 乗り換え先として向く家庭 | 返戻率重視で確実に増やしたい | 祝い金型・一括受取型を選びたい | 対面相談・保障もまとめたい |
子どもの加入年齢が上がるほど、どの会社でも返戻率の目安は下がる方向に動きます。乗り換えを検討する時点での子どもの年齢が、今の契約の加入時より上がっていることを踏まえて比較する必要があります。
3社それぞれの乗り換え先としての特徴
ソニー生命——返戻率の確実性を重視するなら
受取総額が契約時に確定する設計で、貯蓄効率を重視する家庭に向いています。担当者との個別相談で設計するため、加入前にその場で複数プランの試算を受けられる点が乗り換え検討時には利点です。医療保障はつかないため、保障をまとめたい場合は別契約が必要になります。
フコク生命——祝い金型か一括型かを選びたいなら
入学のたびに祝い金を受け取れるS型と、大学進学時に受取を集中させるJ型から選べます。乗り換えで「今までより返戻率を上げたい」という動機がある場合、条件次第でこの2タイプの選び方が結果を左右します。5年ごとの配当は保証されない点は理解しておく必要があります。
かんぽ生命——対面相談と保障の両立を重視するなら
全国の郵便局窓口で相談できる利便性があります。返戻率の目安は他の2社より低めですが、医療特約などを追加しやすく、教育資金と保障をまとめて一本化したい家庭には検討の余地があります。乗り換えの相談を対面でじっくりしたい場合に向いています。
見直し・乗り換えを検討すべきタイミング
結局、乗り換えを考えてもいいタイミングと、考えないほうがいいタイミングってどう見分ければいいんでしょうか。
大まかな目安を整理してみます。加入からの経過年数と、家計の状況の2軸で見るとわかりやすいです。
| 状況 | 乗り換えを検討する際の考え方 |
|---|---|
| 加入から1〜3年程度 | 解約控除の影響が大きく残っている時期。乗り換えによる元本割れ幅が大きくなりやすいため、慎重な試算が必要。 |
| 加入から数年以上経過し、満期まで半分以上残っている | 今の契約の解約返戻金額を確認したうえで、新規加入時の返戻率と比較する価値がある時期。 |
| 満期が近い(残り数年程度) | 新規加入では十分な運用期間を確保できず返戻率が下がりやすいため、原則として継続を検討したほうがよい。 |
| 保険料の払込が家計を圧迫している | 返戻率よりも「払い続けられるか」が優先事項。減額・払済保険への変更など、解約以外の選択肢も保険会社に相談できる。 |
| 健康状態や家族構成が加入時と変わった | 保障内容の見直しという意味では検討の余地があるが、告知内容の変化で新規加入自体ができない・条件が悪くなる場合もあるため要確認。 |
乗り換えが向いている家庭・向いていない家庭
乗り換えを検討していい家庭
- 子どもがまだ低年齢(目安として未就学児)で、加入からの経過年数が浅く、解約控除の影響を試算で確認できている
- 今の契約が保障内容・受取タイミングの面で明らかに家庭の状況に合っていない(祝い金がなく急な出費に対応しづらい、など)
- 解約返戻金と新規加入の試算を両方保険会社から取り寄せ、数字で比較したうえで乗り換え後のほうが有利だと確認できている
乗り換えを避けたほうがいい家庭
- 加入から日が浅く、解約控除の影響が大きい時期(具体的な期間は商品によって異なるため保険会社に確認が必要)
- 満期まで残り数年しかなく、新規加入では返戻率の面で不利になりやすい
- 「なんとなく他社のほうが良さそうだから」という理由だけで、解約返戻金額を確認しないまま検討している
うちは加入3年目でまだ子どもも未就学児です。でも「なんとなく他社のほうが良さそう」で動こうとしていたので、ちょっと反省しました……。
その気づきが一番大事です。まずは今の保険会社に「今解約したらいくら戻るか」を問い合わせるところから始めましょう。数字が出てから、初めて比較の土俵に立てます。
乗り換えを検討する際の具体的な手順
- 今の契約の解約返戻金額を確認する:保険会社のマイページ、契約者専用ダイヤル、または担当者に問い合わせます。
- 今の契約を満期まで続けた場合の受取見込み額を確認する:契約時の設計書や保険会社の照会窓口で確認できます。
- 乗り換え候補の保険会社で、現在の子どもの年齢での試算を取る:複数社の試算を並べて比較します。
- 「解約返戻金+新規加入の受取見込み」と「今の契約を続けた場合の受取見込み」を数字で比較する:この時点で初めて損得が判断できます。
- 解約以外の選択肢も確認する:保険料の減額、払込の一時停止(商品による)、払済保険への変更など、解約せずに家計負担を下げる方法がないか保険会社に相談します。
よくある質問
Q. 解約控除はどの学資保険にもありますか?
商品によって仕組みや金額の設定は異なります。解約控除の有無や割合、いつまで適用されるかは契約時の書類または保険会社への問い合わせで確認できます。「学資保険だから一律で同じ控除がある」とは考えず、契約している商品ごとに確認してください。
Q. 乗り換え前に無料で相談できますか?
ソニー生命・フコク生命は担当者との相談、かんぽ生命は郵便局窓口での相談が可能です。いずれも相談・試算自体は無料であるのが一般的ですが、最新の条件は各社公式サイトで確認してください。
Q. 学資保険から学資保険以外(つみたてNISAなど)への乗り換えも同じ考え方でいいですか?
基本的な考え方は同じです。今の契約の解約返戻金額を確認し、そのお金を別の方法で運用した場合の見込みと比較します。ただしつみたてNISAなどの投資商品は元本保証がなく、学資保険のような契約時点での受取額の確定はありません。リスクの性質が異なるため、単純な利回り比較だけで判断しないことが大切です。
Q. 乗り換え後に再び「やっぱり前の方がよかった」となったらどうすればいいですか?
一度解約した契約を同じ条件で復活させることは基本的にできません。乗り換えは元に戻せない判断であることを踏まえ、必ず複数社の試算と今の契約の解約返戻金額を数字で並べてから決めてください。
まとめ:数字で確認してから決める
学資保険の乗り換えは「返戻率の数字が高い会社に移ればお得」という単純な話ではありません。解約控除による元本割れと、加入年齢が上がることによる返戻率の低下、この2つを差し引いてもなお乗り換え先のほうが有利かどうかを、実際の数字で確認することが唯一の判断材料です。
まずは今の保険会社に解約返戻金の金額を確認してみます。そのうえで、ソニー生命やフコク生命、かんぽ生命の試算も取ってみて、数字で比べてから決めます。
今の契約を続けるか、乗り換えるかは、感覚ではなく「解約返戻金額」と「乗り換え先の試算額」という2つの数字を並べてから判断してください。3社とも相談・試算は無料で受けられます。
返戻率の基本的な仕組みから知りたい場合は学資保険の返戻率とは?後悔しない教育資金準備の考え方、そもそも学資保険が必要かどうか迷っている場合は学資保険は本当に必要?入らないとどうなるかもあわせて参考にしてください。
※本記事の返戻率・保険料は2026年7月時点の各社公式サイト・公開情報をもとにした一般的な目安です。実際の返戻率や解約返戻金額は契約者の年齢・性別・払込方法・受取コース・加入時期などの条件によって個別に異なります。乗り換えを検討する場合は、必ず今の契約の解約返戻金額を保険会社に確認したうえで、各社公式サイトまたは担当者に最新の試算をご確認ください。