
子どもの通院や入院が続くと、小児科代や薬代がじわじわ家計に響いてくる広島市在住のまりさん。広島市の「こども医療費補助制度」は中学3年生まで対象ですが、所得によって自己負担額が変わる仕組みがあり少し複雑です。2027年1月からは対象年齢の拡大と所得制限の撤廃も予定されています。この記事では2026年8月時点の広島市公式情報を元に、対象年齢・自己負担額・所得制限・申請方法を整理します。
長女が小学2年生になって、風邪だけじゃなく歯医者に通う回数も増えてきました。広島市に子どもの医療費を助成してくれる制度があるとは聞いたんですが、うちは共働きで所得もそれなりにあるので、対象外になったり自己負担が高くなったりしないか心配です。
広島市の「こども医療費補助制度」は、中学3年生まで(2026年8月時点)を対象に、保険診療の自己負担分の一部を軽くする制度です。ただし所得に応じて自己負担額が2段階に分かれ、一定額を超えると現時点では対象外になる仕組みもあります。今日は自己負担額の考え方と、2027年1月から予定されている制度拡充、申請の流れを順番に確認していきましょう。
広島市こども医療費補助制度とは
広島市が実施する「こども医療費補助制度」は、市内に住所があり健康保険に加入している子どもを対象に、医療機関等の窓口で支払う自己負担を軽減する制度です。市の公式ページ(2026年8月4日更新分を2026年8月時点で確認)によると、2026年8月時点の対象年齢は「中学校3年生まで」です。2025年(令和7年)1月からは、通院の補助対象年齢が「小学6年生まで」から「中学3年生まで」に拡大されています。
対象になるのは、次のすべてに該当する子どもの保護者(生計中心者)です。
- 健康保険に加入している
- 生活保護、重度心身障害者医療費補助やひとり親家庭等医療費補助を受給していない
福岡市や北九州市のように所得制限がまったくない自治体もありますが、広島市は2026年8月時点では所得制限があります。ただし後述の通り、この所得制限は2027年1月診療分から撤廃される予定です。
所得制限があるんですね。うちの場合、どのくらいの所得だと自己負担が変わってくるんでしょうか。
広島市の場合、所得の基準は2段階になっている点に注意が必要です。「一部負担金の基準額」を超えると自己負担額が上がり、さらに「所得制限額」を超えると2026年12月診療分までは補助そのものが受けられません。この2つの金額は別物なので、順番に見ていきましょう。
自己負担額はいくら?所得で2段階に分かれる仕組み
こども医療費補助制度は医療費が全額無料になるわけではなく、通院には1医療機関等ごとに自己負担があります。自己負担額は、保護者(生計中心者)の所得が「一部負担金の基準額」未満か以上かによって変わります。入院は所得区分にかかわらず自己負担がありません(食事療養費・室料差額など保険診療外のものを除く)。
| 年齢区分 | 所得区分 | 通院の自己負担(1医療機関等あたり) |
|---|---|---|
| 未就学児 | 基準額未満 | 初診時:1日最大500円(月4日まで)5日目以降自己負担なし/再診時:自己負担なし |
| 基準額以上(第1子・第2子) | 初診時:1日最大1,000円(月2日まで)3日目以降自己負担なし/再診時:自己負担なし | |
| 基準額以上(第3子以降) | 初診時:1日最大500円(月4日まで)5日目以降自己負担なし/再診時:自己負担なし | |
| 小学生〜中学生(2026年12月診療分まで) | 基準額未満 | 初診時:1日最大500円(月4日まで)5日目以降自己負担なし/再診時:自己負担なし |
| 基準額以上(第1子・第2子) | 初診時・再診時とも:1日最大1,500円(月2日まで)3日目以降自己負担なし | |
| 基準額以上(第3子以降) | 初診時:1日最大500円(月4日まで)5日目以降自己負担なし/再診時:自己負担なし | |
| 入院(全区分共通) | 自己負担なし(食事療養費・室料差額など保険診療外のものを除く) | |
| その他(院外処方の保険薬局/訪問看護/あん摩マッサージ/はり・きゅう/柔道整復/治療用装具) | 自己負担なし | |
※上記は広島市公式サイト(2026年8月4日更新情報を2026年8月時点で確認)を基に作成しています。「第3子以降」は、2026年12月診療分までは中学生までの子どもを年齢順に数えて3番目以降を指します(別居扶養の子を含める場合は申立書等が必要)。
ここで特に注意したいのが、保護者の所得が「所得制限額」以上の場合です。この場合は自己負担額が高くなるのではなく、2026年12月診療分までは補助そのものの対象外になります(全額自己負担)。所得制限額は次の章で説明する基準額よりさらに高い金額に設定されています。
「自己負担が上がる」のと「対象外になる」のは全然違いますね。長女は小学2年生なので、うちが基準額以上だった場合、通院1回につき1,500円を月2回までということでしょうか。
その理解で合っています。ただしそれは「基準額以上・所得制限額未満」の場合です。「所得制限額」を超えている場合は、2026年12月診療分まではこの制度自体が使えません。まりさんのご家庭がどちらに該当するかは、次に説明する具体的な金額を確認してみてください。
所得の基準額・所得制限額はいくら?
一部負担金の基準額・所得制限額は、いずれも扶養親族等の数に応じて次のように設定されています。判定は保護者(生計中心者)本人の所得のみで行われ、世帯合算ではありません。
| 扶養親族等の数 | 一部負担金の基準額 | 所得制限額 |
|---|---|---|
| 0人 | 295万2千円 | 532万円 |
| 1人 | 333万2千円 | 570万円 |
| 2人 | 371万2千円 | 608万円 |
| 3人 | 409万2千円 | 646万円 |
| 4人以上 | 1人につき38万円を加算 | 1人につき38万円を加算 |
| 同一生計配偶者(70歳以上)または老人扶養親族がいる場合 | 1人につき6万円を加算 | 1人につき6万円を加算 |
ここでいう「保護者の所得」は、給与所得控除後の額から社会保険料相当額8万円と各種控除(障害者控除27万円、ひとり親控除35万円など)を差し引いた金額です。配偶者からのDV被害や離婚協議中で別居している場合は、配偶者の所得を除いて審査する支援措置もあります。詳しい所得計算は、お住まいの区福祉課に確認するのが確実です。
対象外となる費用・対象外となる人
保険診療が適用されない費用は、この制度の補助対象外です。広島市の公式ページでは次のような費用が挙げられています。
- 保険適用のない治療・検査・薬
- 健康診断、予防接種
- 美容整形、歯列矯正
- 室料差額
- ジェネリック医薬品がある薬で先発医薬品を希望した場合の差額
- 紹介状なしで大規模病院を受診した場合の初診料加算分
- おむつ代等の日常生活上必要なサービス
また、対象者としても次のケースは補助を受けられません。
- 生活保護を受給している人
- 重度心身障害者医療費補助の対象になっている人
- ひとり親家庭等医療費補助の対象になっている人
- 保護者の所得が所得制限額以上の人(2026年12月診療分まで)
これらに該当する場合は、こども医療費補助制度ではなく、他の制度が優先して適用されるか、あるいは2027年1月の制度拡充を待つことになります。
【重要】2027年1月から対象年齢が高校生年代まで拡大・所得制限も撤廃
広島市は2027年(令和9年)1月診療分から、こども医療費補助制度を次のように拡充する予定です。
- 対象年齢を中学校3年生までから「高校生年代」(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者)まで拡大
- 保護者の所得制限を撤廃し、所得にかかわらず全員が補助対象に
- 「第3子以降」のカウント対象も、高校生年代までの子どもに拡大
現時点で対象外になっている高校生年代の子どもや、所得制限額以上で対象外の家庭も、2027年1月からは新たに補助の対象になります。新たに対象になる方は申請が必要で、2026年8月3日から9月11日を申請受付期間としていますが、それ以降も随時受け付けています。申請方法はマイナポータル電子申請、郵送、窓口(お住まいの区福祉課または各出張所)のいずれかで、受給者証の発送は2026年12月下旬を予定しています。
すでにこども医療証を受け取っている家庭は、この制度改正のための申請は不要です。ただし、誕生日が4月2日から1月1日までの中学3年生や、2027年1月から新たに「第3子以降」としてカウントされる子どもは受給者証の記載内容が変わるため、2026年12月下旬に新しい受給者証が郵送されます。
うちは所得制限額を超えていて今は対象外かもしれないんですが、2027年1月からは所得に関係なく対象になるということですね。それなら今から申請しておいた方がいいんでしょうか。
所得制限額以上で現時点では対象外になっている家庭も、2027年1月からは新たに補助の対象になる見込みです。受給者証の発送が2026年12月下旬に予定されているので、申請が遅れると新年度の切り替えに間に合わない可能性があります。9月11日を過ぎても申請自体は可能ですが、早めにお住まいの区福祉課かマイナポータルで手続きしておくと安心です。
申請方法と必要書類
こども医療証の交付を受けるには、受給者資格認定申請が必要です。申請方法は次の3通りです。
- マイナポータルを利用した電子申請(保護者本人、原則児童手当受給者のマイナンバーカードから「ぴったりサービス」にログインして申請)
- 窓口での申請(お住まいの区福祉課または各出張所)
- 郵送による申請(申請書をダウンロードし、お住まいの区福祉課へ郵送)
出生による申請の場合は、出生届提出時に各区市民課の窓口でも申請を受け付けています。窓口・郵送申請で必要なものは、子どもの加入する健康保険情報が確認できるもの(マイナ保険証、資格確認書、資格情報のお知らせのいずれか)です。マイナ保険証をお持ちの場合は、子どものマイナンバーカードも必要です。保護者やその配偶者が広島市に転入した場合や住民票が市外の場合は、個人番号が確認できるものも必要になります。
出生届を出すときに一緒に申請できるのは助かります。マイナ保険証を使う場合は、子ども本人のマイナンバーカードも忘れずに持っていく必要があるんですね。
そのとおりです。窓口が開いている時間に行けない場合は、マイナポータルでの電子申請か郵送申請も選べます。手続きに関する問い合わせは、お住まいの区福祉課児童福祉係が窓口になります。区ごとに番号が異なるので、事前に広島市の公式サイトで確認しておくとスムーズです。
医療証の使い方(現物給付と払戻し)
こども医療証は、広島県内の医療機関等の窓口で、マイナ保険証(健康保険証利用登録を行ったマイナンバーカード)や資格確認書等と一緒に提示すると、その場で自己負担額までの支払いで済む「現物給付」が基本です。一方、次のようなケースでは、いったん医療機関等の窓口で医療費を支払い、後日お住まいの区福祉課に申請することで差額が払い戻される「払戻し(償還払い)」の対応になります。
- 広島県外の医療機関等を受診した場合
- こども医療費受給者証を忘れて受診した場合
- 治療用装具を作成した場合
払戻し申請には、医療費領収書・診療明細書、受給者証、保護者名義の口座情報がわかる通帳等が必要です。高額療養費の対象になる場合やマイナ保険証等なしで受診した場合は、先に加入している健康保険への療養費等の申請が必要になる点にも注意してください。
よくある質問
Q. 兄弟姉妹がいる場合、それぞれ申請が必要ですか?
A. 子ども1人ごとに受給者証が交付される制度のため、兄弟姉妹分はそれぞれ申請が必要です。出生時や転入時にまとめて手続きできるか、区福祉課の窓口で確認しておくとスムーズです。
Q. 所得制限額を超えていると、2027年1月まではまったく助成を受けられませんか?
A. 2026年8月時点の公式情報では、保護者の所得が所得制限額以上の場合、2026年12月診療分までは補助の対象外です。2027年1月診療分からは所得制限が撤廃される予定のため、新たに対象となる見込みです。新規申請が必要になるため、早めの手続きをおすすめします。
Q. 広島市外に引っ越したら受給者証はどうなりますか?
A. 広島市外へ転出すると、この制度の対象ではなくなります。転出先の自治体で改めてこども医療費助成の手続きが必要になるのが一般的です。転出前後の手続きは区福祉課か転出先の自治体窓口に確認してください。
Q. 受給者証を紛失してしまった場合はどうすればいいですか?
A. 受給者証を紛失・き損した場合は、マイナポータルでの電子申請、区福祉課の窓口、郵送のいずれかで再交付の申請ができます。再交付が間に合わず受給者証なしで受診したときは、前述の払戻し(償還払い)を申請できる可能性があります。
Q. 学校でのケガも、こども医療証で受診できますか?
A. 2026年8月時点では利用できますが、2027年1月以降は、日本スポーツ振興センターの災害共済給付制度を利用できるケガの場合、こども医療証は使えなくなる予定です。その場合は一旦通常の自己負担割合(3割または2割)を支払い、学校等を通じて給付金を請求する流れになります。
まとめ:制度改正のタイミングを逃さず申請を
所得によって仕組みが変わることが分かって、うちがどちらに当てはまるか確認する必要があると分かりました。2027年1月からの制度改正も知らなかったので、まずは区福祉課に問い合わせて、申請が必要かどうか確認してみます。
それが一番確実です。特に所得制限額以上で今は対象外の家庭や、高校生年代のお子さんがいる家庭は、2027年1月からの拡充で新たに補助の対象になる可能性があります。申請の締め切り自体はなくても、受給者証の発送スケジュールに間に合わせるには早めの手続きが安心です。医療費の自己負担が軽くなった分は、すぐに使い切るのではなく、進学時にまとまってかかる教育費の積み立てに回す家庭も少なくありません。学資保険が本当に必要かどうかを整理した記事や、小学生向け通信教育の費用相場をまとめた記事も参考にしてみてください。
広島市のこども医療費補助制度は、2026年8月時点では中学3年生までを対象に、所得に応じて自己負担額が2段階に分かれる仕組みです。所得制限額以上の場合は2026年12月診療分まで対象外ですが、2027年1月診療分からは対象年齢が高校生年代まで拡大し、所得制限も撤廃される予定です。制度の詳細・最新の運用は広島市公式サイト「こども医療費補助制度」で必ずご確認ください。
教育資金の準備を並行して考えたい方は、学資保険は本当に必要なのか整理した記事や、小学生向け通信教育の費用相場を比較した記事もあわせてご覧ください。
他の自治体の子育て支援制度と比べてみたい方は、自治体別の補助金・助成金一覧ページもあわせてご確認ください。